＜お勧めポイント＞
1.著者、長男、次男、長女の実際の体験を通した中学受験の分析
この手の本によくある、「私立中高一貫＝勝ち組、公立＝負け組」ではなく、子供の性格や知能の発展段階を親として冷静に分析し（親の立場でこれが一番難しい）、その子にあった受験を検討。その緻密な分析検討過程を余すことなく記している。受験生の親は、著者のような分析をしっかりしないといけない（でも、なかなか難しい）。中学受験熱がやや収まってきている今日、もう一度、「この子にとって本当に中学受験が良いのか？」を考える良い機会。その際、参考になるところが大きいと思う。
２．国語克服法、算数克服法
男子の国語苦手、女子の算数苦手の克服法あり。国語を苦手にする子は、漢字と語句で乗り切るしかない（時間かけても伸びない）。算数は基礎問題の繰り返し。苦手なものは平均狙いしかない。わが子のために色々試し、試行錯誤し、振り出しに戻っているところは、胸が熱くなる。
＊0.9999999999･････＝１の考察はもの凄く高度。でも、著者の歯がゆさが出ていて面白い。
＜残念なところ＞
１．受験校（合格校）の開示（示唆）がないところ
受験校の具体的な開示、もしくは偏差値や地域などの示唆がない。このため、どのようなレベルの子供が、苦労を乗り越え、どこまで到達したのかがわからず。合格体験談としては、何かパンチがない。
２．徹底した客観的分析
この手の本を読む読者は、「皆同じく不安で私と同じ」との共感を持ちたいのでは？（認知的不協和の解消？）
この面では、著者はあまりにも冷静で、客観的な分析に終始。対象物（受験生）への距離感があり。読むと元気がでるような体験談ではない。成績が上がらず、不安で不安で仕方がない親の気持ちの代弁的な要素がもう少しあった方が良かったかも。
【総評】
中学受験は、向いている子はどんどん伸びるが、向いていない子は本当につらい。そして結果は残酷にも「勝者」「敗者」がはっきりする。向いているかどうか親が判断しないといけない。その際、著者の冷静な分析が手助けになると思う。
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